周回遅れの日記

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ホントに店舗販売でクーリング・オフやるんですか?

ホントに店舗販売にクーリング・オフ導入するんでしょうか。
日経に「スマホクーリングオフ 悪弊排除に本気の総務省」という記事が。

「付けないと割引にならないと言われ渋々オプションサービスを申し込まされた」「うっかり更新月を逃したばかりに多額の違約金が課せられた」――。こうした業界慣行がまかり通る現状を改め、クーリングオフ導入によって消費者を保護する狙い。店舗販売も対象とし、スマートフォンスマホ)の返品も視野に入れるなど踏み込んだ内容に、通信各社は戦々恐々としている。

スマホにクーリングオフ 悪弊排除に本気の総務省

訪問販売・電話勧誘販売クーリング・オフ導入はいずれやるべきと思ってましたが、店舗販売でもクーリング・オフ導入はたぶんないだろうと思ってました。
へえ本気なんですか。本家の特商法とか、宅建業にも波及するかもしれませんね。

店舗販売では、消費者が自分の意思で店舗に赴いて購入する形態です。
自宅等に押しかけられて居座られて威迫的に契約を迫られるわけでも、しつこく自宅等に何度も何度も電話をかけて強引に契約をさせるわけでもありません。したがって、本家の特商法でも、店舗販売はクーリング・オフの対象外とされているわけですが、スマートフォン等の店舗販売にクーリング・オフを認めるのは一般の消費者にとって契約内容が難しすぎるから、でしょうか。

いや、別にそんなに難しくないですよ。

と、私は思っています、正直なところ。
じっくり時間をかけて、ちゃんと読みこめば理解できるはずです。
でも、一般の人はそこまで時間をかけていられない。情報通信機器は一部の好事家が趣味でいじるものではなくて、日常的な生活に密着したものになってしまいました。こんなのホントは使いたくない、スマホを使わざるを得ないから使っているという人も多いでしょう。喜んでスマホを使っている人はむしろ少数派なのかもしれません。そういう状態である以上、契約内容をちゃんと確認しない消費者を責めることはできない、という価値判断なのかなあ、と。
宅建業者からマンションを買うとなれば一生に一度の大きな買い物ですからよくよく注意しますけど、スマホごときでそこまでやってられん、と。

余計なものを売ると危ない

しかし、「付けないと割引にならないと言われ渋々オプションサービスを申し込まされた」からけしからん、というのは販売店からすると厳しい話です。

定期契約なし、オプションなし、コンテンツなしで端末を購入する手段はちゃんと用意されています。
もちろん定価販売になりますけど。

売れ残りの投売りを除けば、定期縛り、オプ、コンがあるからこそ端末が割引されるというのは当たり前の話で、オプションもコンテンツも解約前提なのは売る方にとっても買う方にとっても暗黙の了解… いやいや、一般的にはとても常識とはいえませんねすいません。
そういう前提のもと、不要なオプション等の解約までの料金や解約時の違約金等のコスト、もらえるCBの額等を計算して、総合的にはプラスになると判断した人が納得ずくで不要なオプコン付きの端末を買う、というのが本来のあるべき形なのですが、でも前述のように一般の方にはそんな判断はできない、という価値判断が前提ですね。

「オプションを付ける代わりに安くします」だと、クーリングオフで契約全体が解除・取消されて返品されるリスクが増加します。となれば、端末販売店はいずれ、純粋に端末だけを販売するようになるのではないかと思います。
SIMカードが入ってないんですが?
「お好きなキャリアのショップに行ってご自分で契約してください。SIMフリーですから、どこでも大丈夫ですよ」
スマホでドラマやアニメを視たいんですけどお勧めの動画視聴サービスないですか?
「すいませんねえ、うちは端末しか売らないんですよ、ご自分で探してください」
余計なものを売ると、それだけ返品リスクが増えます。端末だけを売る形なら、キャリアやコンテンツ提供元との間でトラブルになっても、そのトラブルが端末の販売契約まで波及する可能性は下がります。

その代わり、当然ながらキャリア等からのインセンティブが出ませんから、端末価格の大幅な値引も無くなることでしょう。中小の併売店さんには厳しいことになりそうですね。