周回遅れの日記

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SIMロック解除義務付けへ?

電気通信事業法で、SIMロックの解除を義務づけるという報道が出ています。

 総務省は大手携帯電話各社が自社の通信サービスしか使えないようにする端末の機能制限を2015年度にも解除させる。利用者が携帯会社を乗り換えやすくして競争を促す狙い。使い慣れた端末を持ったまま携帯会社を乗り換えられるようにし、顧客の囲い込みをやめさせる。台頭してきた格安スマートフォンスマホ)会社の顧客獲得に弾みが付き、寡占で高止まりする料金が下がる効果を期待している。
 30日に開く総務省有識者検討会が中間取りまとめに盛り込み、年内に具体策を詰める。携帯電話の通信にはSIMカードと呼ばれるICカードが必要で、大手は他社のカードに反応しないよう端末に制限を掛けている。今後はこの「SIMロック」の解除を拒めば電気通信事業法に基づく業務改善命令の対象にすることを検討する。

携帯会社、端末換えずに変更 スマホ利用制限を解除

現在、キャリアの販売するほとんどの端末にはSIMロックがかかっています。
たとえばドコモで購入した端末は、そのままではソフトバンクモバイルのSIMで利用することはできません。
しかし、ドコモでSIMロックを解除すれば、端末のハードウェアが対応している限りは、ソフトバンクモバイルのSIMで利用することができるようになります。
現在、SIMロックの解除に応じるかどうかは各事業者の判断に委ねられているのですが、これを義務として、すべての端末でSIMロックの解除に応じるようにしよう、という話です。逆に言うと、SIMロックを解除できない端末は売ってはならないということになります。

SIMロック解除のメリット

SIMロックの解除を認めることで、異なるキャリアへの乗換が行いやすくなります。
たとえばMNPソフトバンクモバイルからドコモに乗り換える場合、従来から利用していたソフトバンクモバイルの端末をドコモのSIMで利用することはできません*1でしたが、SIMロック解除が義務づけられると、SIMロック解除の手続きを行うことでドコモでもソフトバンクモバイルの端末を利用することができるようになります。
キャリア(MNO)への乗換だけでなく、MVNOへの乗換も行いやすくなります。ソフトバンクモバイルSIMロック解除に応じるようになると、ソフトバンクモバイルの端末でOCNモバイルONE、IIJmioBIGLOBE 3G/LTE等のドコモ回線を利用したMVNOを利用できるようになります。これはソフトバンクモバイルからにとっては痛手になるので、対抗策としてソフトバンクモバイル回線を利用したMVNO格安SIMサービスが開始されるのではないでしょうか。

恒久的な乗換ではなくて、一時的に違うSIMを使いたいときにも有効です。
たとえば、海外で現地の事業者のSIMを使うことができるようになります。現地のSIMを使わなくても、国際ローミングを利用すれば、普段利用している端末をそのまま使うことができますが、国際ローミングはどうしても料金が高くなりがちなのが難点です。現地の事業者のSIMを利用した方が安く上がることが多く、特にプリペイド型の現地のSIMを利用すれば、使いすぎて請求書を見て卒倒することもありません。

ワンストップ型のサポートは受けられるか?

現在、キャリアのスマートフォンを購入した場合、キャリアショップに行けば、そこでたいていのトラブルには対応してくれます。これは端末の販売者と、通信サービスの提供者が同じキャリアだからです。

しかし、SIMロックを解除して、端末の販売者とは別の他社のSIMを入れて利用する場合、キャリアショップでワンストップのサポートを受けることは必ずしもできなくなります。販売者のショップでは、通信に関しては他社サービスなので対応できず、通信サービスの提供者のショップでは、端末は他社の端末なので対応できないからです。
もっとも、実際にはSIMロック解除後も、端末の販売元のキャリアショップでなるべく面倒を見てくれる形になるはずです。「SIMロック解除の開始に伴う携帯事業者間の基本合意事項」でもそうなっていますね。でも、端末の問題か通信の問題か切り分けの難しいケースでは、端末販売元では「端末の問題ではないようなので後はSIMの提供元の方でご相談を…」SIMの提供元では「SIMには問題ないようなので、あとは端末の販売元の方でご相談を…」とたらい回しにされてしまう可能性はあります。キャリアショップのサポートが頼り、という方にとってはおっかない事態です。

とはいえ、この文章を読んでいるあなたもそうかもしれませんが、
「キャリアショップのサポートなんて受けたことない」
「そもそもサポートなんて要らない、自力で対処できる」
という方も多いはずで、SIMロックの解除はまさにそういう方のためにあります。

でも、そういうレベルに達していない人もいっぱいいます。
SIMロックはそういう人がむやみに他社SIMを使おうとして無用のトラブルを引き起こさないための、後見的な歯止めの役割を果たしていたわけですが、そういう後見的なお節介は要らないという流れですね。
今後は「SIMロック解除して使いたいけど、キャリアショップのサポートも欲しい」という欲張りな人の面倒をどうみるか、端末販売元とSIM提供元がどう役割分担するかが重要になってくるのではないかと思います。

ドコモ版iPhone5s/5cはSIMロック解除してくれますか?

私個人について言うと、今の関心事は、ドコモがiPhone5s/5cのSIMロック解除に応じてくれるようになるかどうかです。

現在ドコモでは、11年4月以降に発売された端末については原則としてSIMロック解除に応じていますが、ドコモ版iPhone5s/5cについてはSIMロック解除対応機種に含めていません。
しかし、SIMロック解除が義務づけられたらドコモ版iPhone5s/5cもSIMロック解除対応機種に入るのでしょうか。手持ちのiPhone5sは年内に手放そうかと思っていましたが、もしSIMロック解除できるなら手放さずにそのまま使い続けようかな、と思っています。
…いや、でも実現するのは15年になってからか。来年まで待たなきゃならないなら、SIMロック解除に期待するより、さっさと手放しちゃおうかなあ。

テザリングのAPN固定はどうなるんでしょう?

ドコモ端末で、ドコモ回線利用のMVNOのSIMを利用した場合に、テザリングのAPNが固定される問題はどうなるのかなあ。
これはSIMロックとは無関係の問題、ということになるのでしょうか。

*1:SBはごく限られた一定機種については、現在でもSIMロック解除に応じているため、SIMロック解除の手続きを行えばドコモで利用することができます。